8年前のお話し

少し古い話をします。

8年前ほど前、先輩が突如異動になり、私は今の仕事を一人で取り仕切ることになりました。

 

一応「○×部」という名前の括りでは他に数名居るのですが、仕事の内容がかぶりません。

部長がいても、仕事の内容が違うのだからアドバイス程度のことしか出来ません。

それでも当時の私は、直ぐに中途採用か新入社員が配属されてくるのだろうと楽観視していました。そしてそれまでに仕事の説明や引き継ぎをしやすいようにサーバ内のファイルや書類を整理しておこうと思っていました。

忙しいですが、今ほど案件数も多くなく、私も若かったのでやる気に燃えていたのです。

 

それから数カ月が経ち、新たな配属者のウワサもないまま、厄介な仕事が舞い込んできました。中国でシステムを立ち上げるという案件です。

今まで海外の仕事は受けたことがなく、社内の体制も整っていませんでした。会議という名の他部署への押し付け合いの結果、私の部署が一番仕事の内容が近いということで無理やりなすりつけられた形です。

そういう時に限って国内の仕事も多い時期で、正直言うと後から突っ込まれた海外案件なんか受けられる状態ではありませんでした。

 

それが2011年の11月。

日報を振り返ってみても、当時は殆ど真っ白のままです。1ヶ月に合計で一週間ほどしか社内に居らず、日報を書く余裕がなかったのです。

休みもほとんど取った記憶がありません。それなのに残業時間はいつもと変わりません。

何故かというと…以前も言いましたが、出張扱いの日は残業が付かないからです。休日の出張は8時間の残業が付くのですが、それだけが「残業時間」として残っています。

慣れない海外出張から帰ってきては国内の出張の準備をして出発。そんな日々が続いていました。

 

時間がないため、出張に行く新幹線の中でこれからこのシステムをお収めるお客様向けのソフトを手直ししたりと、かなりギリギリの綱渡りを繰り返していました。

そんなわけで精神的にも余裕がなく、かなり追い詰められていたと思います。

 

ある日、いつもと同じように新幹線ホームに立っていた時にふと、入線してくる新幹線を見ながら「ここに飛び込んだらどうなるんだろうな…」と考えていました。

「楽になれる」とか「もう全部忘れられる」とかではないのですが、「痛いかな。案外痛くないのかな」とか考えながら、半歩だけ、足が前に進んだ気がしました。

ドラマ等では、ハッと我に返って思いとどまったというような演出がよく入りますが、私は何も感じませんでした。

そこまで勇気が起きなかったので何もしでかさなかった。そんな感じでしょうか。

他にも、宿泊先のホテルの窓が開かない(窓から出られない)とか、色々変なことを考えていました。

今はそんなことを考えたりしませんが、同時に「あの頃はバカなこと考えてたよなあ」と笑い飛ばすこともありません。

 

鬱(のような症状)というのは、綺麗サッパリ忘れてしまえるものではなくて、天気が悪くなれば何時までも疼く古傷のようなものなのでしょうか。