バイクと私 #3(魅了編)
というわけで人生で初めて乗ったバイク(原付)の話です。
最初からスイスイ乗れたかと言うと、なかなかそうはいきませんでした。
今まで二輪は自転車しか乗ったことがありませんから、漕がずに勝手に走るという感覚に身体がついていきません。
おまけに、たかが50ccの排気量とは言え出足がかなり鋭く、アクセルを軽くひねっただけでボンッ!と結構な勢いで加速をします(理由は後述します)。
まずは車通りも少ない、近所の田舎道を走って練習しましたが、時速20kmも出れば怖くなってきます。
同じようなスクーターに乗った、買い物帰りのおばちゃんに軽々追い抜かれていきます。
何と言う屈辱。。。
初日はそんな感じでしたが、毎週末乗るたびに徐々に慣れてきました。
元々車には乗ってますからね。風が直接当たる感覚や、二輪特有の左右に車体を傾けながら曲がる感覚に慣れてくれば、スピードそのものにはそれほど恐怖感はありません。
細い路地の奥だろうが、住宅街の中だろうが、自転車とほぼ変わらない感覚で入っていける身軽さ。
上り坂でも、自分で漕がなくても何処まででも走れる快適さ。
そして太陽の下で、身体一つで車道を疾走する開放感。
こういった魅力に、私は徐々に魅せられていきました。
どうして私は、こんなにも便利で、そして楽しい乗り物を今まで避けていたんだろうか。この世の悩みごとの半分はバイクに乗れば解決するんじゃないだろうか。
走っている最中の脳内BGMはいつも「日曜日よりの使者」。自然と鼻歌が漏れ、気がついたら脚で軽くリズムを刻んでいました。
そしてこのJOG POCHEなのですが、実は結構速かったのです。というのは、これは2ストロークエンジン搭載車でした。
現在の、原付を含むバイクはほぼ100%が4ストロークエンジンです。
2ストロークと4ストロークの違いは、Wikipedia等を調べていただければ、私が雑な説明をするより詳しく紹介されていると思いますが、要するに今時の同排気量のエンジンに比べて2倍近いパワーを出せるのです。
その代わり、エンジン音が大きい。排ガスが臭い。燃費が悪い。などデメリットもあるのですが。
先程言いました、出足が鋭いというのも、この2ストロークエンジンの賜物なのでした。
考えてみれば、この原付を母が買ったのは(私が乗り出した当時からでも)20年ほど前。排ガス問題で2007年に新車の製造が中止されるまでは、パワフルで安価に製造できる2ストロークエンジン車の全盛期でした。
バイクに全く興味が無かったので知らなかったのですが、今となっては逆に貴重な1台となっていたのです。
そんな訳で、ゲームのために町中を走り回るという目的のために乗り出した原付だったのに、徐々に原付で走り回ること自体が目的となってきました。
もっと乗っていたい。もっと遠くまで走りたい。という欲求に駆られはじめました。
しかし原付は、特に排気量50cc未満の原付一種には色々制限があります。
まず、速度が30km/h以下に制限されます。
私のような田舎暮らしには縁はありませんが、片側3車線以上になると右折時には二段階右折の義務が発生します。
そして何より、街乗り用に設計されている原付スクーターは燃料タンクが小さく、航続距離が短いのです。
この頃から私は、二輪免許を取ってもう少し大きいバイクに乗りたいと思うようになってきました。