漢字本来の意味から考えれば、本人がなりたいと思っていること、やりたいと思っていることを実現する。という意味に取れます。
調べてみるともう少し高度な解説をしているページもあります。
曰く「人間の物質的欲求が充足されたあとに発現する欲求」だそうです。
コトバンクより
つまり、もっと単純な欲求が全て満たされたあとに、それでも自分がやりたいこととか、そんな感じでしょうか。
ただ、能力開発系のセミナーや、意識高い(系?)の人々の間で使われる「自己実現」という言葉を聞いていると、なんだか意味が分からなくなってきます。
「仕事を通して自己実現」
「自己実現のために仕事を頑張る」
「自己実現のための働き方を応援」
この場合、「自己実現」とは何を指しているのでしょう…?
コトバンクで紹介されている意味のとおりに取るなら、そもそも他の欲求が満たされていない状態では「自己実現欲求」そのものが発動しない筈なのですが。
これを考えると、仕事に明け暮れていてどれほどの単純な欲求を満たせるでしょうか?
仕事で成功すれば社会的欲求は満たせるでしょう。
出世して皆からちやほやされれば自尊欲求は満たせるでしょう。
けどそれ程仕事を頑張っていると、もっと単純な生理的欲求、安全への欲求って満たせますかね?
大して出世していない私ですら、日曜の夜になれば気持ちが落ち込むほど気が滅入ります。仕事でなにか問題が出ればそれだけで胃が痛くなります。
安全への欲求が完全におろそかです。
睡眠欲などの生理的欲求すら満足に満たせません。
こんな状態で「自己実現」ですか?
正直なところ、仕事を辞めてストレスを減らした後のほうが、自己実現に近づくように思えます。
そりゃあ、何も蓄えがない状態で辞めてしまえばあっという間に行き詰まりますけども。
まず、生理的欲求は満たしやすくなりますし、安全への欲求も、危険な仕事や嫌な仕事はやらなくて良い訳ですから、満たしやすくなるでしょう。
社会的欲求なんかは、ボランティアでもすれば満たせるんじゃないかと思います。
ここまでくればあと一歩。そうすればようやく自分が成し得たいことが見えてきそうです。
その時自分が何を成したいと思うのか。果たしてそんなものは幻想で、最初から存在しないのか。
それは一度、その境地に達した方に聞いてみたいです。