中国には空っぽの「街」が多かった

もう10年近く昔の話になるので、現状とは合わないかもしれません。出張でよく中国に行っていた頃の話です。

さすがに中国全土を駆け巡ったりはしていませんが、それでも結構色んな場所を訪れました。

上海を始め、南京市、香港との国境に近い広州市長沙市

 

基本的には現地のスタッフが付いてくれて、食事や宿泊先も同行してくれたのでそれ程困ることはありませんでしたが、イチ技術員として仕事をしに行ってましたので、ホテルはビジネスホテル。食事は大衆食堂のような小さな店が普通でした。

客として商談のために訪問し、色々接待を受けたやつらの事を聞いていると歯噛みしたくなるような差を感じました。

 

上海の、多分中心街に近い場所だったと思うのですが、その辺りだと雰囲気は東京にとても似ていました。

色んな国の言語や人種が溢れ、国際都市然とした雰囲気を感じます。一歩路地へ入ると雑然とした街並みも残り、おまけにファミリーマートの看板があり、入店するとお馴染みのチャイムが鳴ります(ボリュームがクソでかいですが)。

ホテルの従業員も当たり前のように英語を話します。私には中国語しか話してくれませんでしたけど。

 

ただそんな大都市を離れ、中堅都市に入ると、一気に雰囲気が変わりました。

街はとても綺麗です。

真新しい高層建造物が立ち並び、道は幅も広く取られ、公園のようなスペースも適度に配置されています。

大通りには車が溢れかえっていますが、大通りを離れると車も人も急に少なくなりました。

 

夜になるともう少し顕著になります。

都市の規模からは考えられないほど人がいない。大きな都市ならたいてい日が暮れてからでもうろついている人が居るものですが、決まって若者が数人居るだけ。

おまけに街も暗い。大衆食堂が並んでいる辺りはさすがに少し賑わっていますが、そこを離れると街灯くらいしか明かりになるものがありません。

 

なんだこれ、ひょっとしてこの建物に誰も住んでないのか?

昼間あれだけ走り回っていた車は、単にこの街を通過するだけのものだったのか?

 

中国は土地が広いため、平面的に都市が広がっていく傾向が強いように思えました。

つまり、地価が高騰している上海のような都市でない限り、高層建造物など建てる理由に乏しいわけです。にもかかわらず、そういう建物ばかりが目立つ街。

そして建物の規模に似合わない人通りの少なさ。

 

よく考えれば、基本的に自炊をしない風習の国なのに、あんな小さな食堂だけで街中の人の胃袋を満たせるわけもありません(たった今、気が付きました)

中国はひょっとするともう何年も、住む人などいない建物を建て続けていたのかもしれません。

 

中国恒大集団の騒ぎを聞いた時、この時の光景が蘇りました。