バイクと私 #20(長いトンネル編)
前回、タンク修理に失敗し、ガソリン漏れが止まらなかった件を書きました。
当然このままでは安心して乗れない(保管も出来ない)ので、次の策を考えます。と言ってももう出来ることは限られます。
1.タンクを丸々交換する。
2.何らかの手段でもう一度穴を埋める。
実は、バイク屋では1を進められましたが、何せ古いバイクです。消耗品でも無いパーツを正規店で購入できるわけがありません。
ヤフオクなどで中古パーツを漁らざるを得ないのですが、たとえ(錆なし・良品)なんて書かれていても、信用できるものではありません。
当時良く見ていたYouTuberさんも「現物はヤフオク写真の10倍は汚いと思え」と言っていました。
なので、2の方法を探ることにします。
一般的な手法として、ハンダで穴を埋めてしまうのが次善の策のようです。
普通の電子工作用ではなく、鈑金用の穴埋めハンダ(と、ハンダゴテ)を使います。…何が違うのかよく分かりませんが。コテは電子工作用の2倍のサイズはありましたね。
もちろん、そんなものは何一つ持ってないので、このためだけに道具を買い揃えました。
ハンダゴテとは言え火器を扱う訳ですから、ガソリンを抜いた後も1週間タンクを空干しし、充分に揮発させました。
準備万端に整え、いざ作業開始。
穴周辺の塗料を紙やすりで擦り落とし、ポンチで少し叩いて穴を凹ませます。これはハンダを厚く盛るためです。
そうやって触っていると、穴がどんどん広がっていきます。「大丈夫かこれ、無限に穴が大きくなるのでは…」と思ってしまいましたが、思い切ってヤスリでゴリゴリしてみると、錆びていない地金の部分はほぼほぼ削れることはありませんでした。
つまり、穴は小さくてもその周辺はかなり朽ちていたということで…相当病巣(?)は大きかったんだとちょっと怖くなりました。
コテで穴の周辺を予熱し、フラックスを塗ってからいざ穴埋め。
ここら辺の作業は予めYouTubeで予習しておきましたが、やっぱりはじめての作業で上手く行くはずもなく…何度かやり直してようやく塞がりました。
今度はタンクが冷めるのを待って元通り組み付け、もう何度目かとなるガソリンを投入します。もういい加減、揮発ガスの臭いに慣れてしまいました。
タンク内の液面が穴の位置を越え…やりました!遂にガソリン漏れが止まりました。これで安心して走れます。
ハンダゴテも鈑金用ハンダも少々高かったけど、これなら充分元を取れました。
…それから暫く経ちました。
タンクの内側の補修材で覆い尽くしたにも関わらず、再びキャブに赤錆が溜まるようになってきました。それの影響なのか、エンジンのかかりも悪くなってきたように思います。
そして再びの悪夢。
どこからとも無く強いガソリン臭が漏れてきました。
前回塞いだ穴は問題なさそうです。慎重に調べていくと…タンクの底に近い部分の側面。両サイドから、ホンの僅かずつですがガソリンが染み出しています。
しかも一ヶ所や二箇所ではなく、ぱっと見る限り5〜6箇所。
量が僅かなので、ガソリンが滴り落ちるまでもいかず、穴の周辺で揮発しているようでした。
憶測ですが、長期保管中にタンク中に入り込んだ水が残っていたガソリンの上に層を作り、その部分がぐるっと一周、錆びついた様に思えました。
補修材で覆ったつもりでしたが、深く浸透した錆が広がり、補修材の下からボロボロと崩れてきた様に思います。
ひょっとすると、ずーっとガソリンを入れたままなら案外傷まずに保ったのかもしれません。しかし修理のために何度もガソリンを抜き、揮発ガスを抜くために放置といった事を繰り返していたため、錆が一気に進んだのかもしれません。
原因が何にせよ、これで振り出しに戻りました。しかも前回より深刻です。
なんだか出口が見えない長いトンネルに迷い込んだ気がしてきました。